「第一・第二列島線」は中国が引いたのが最初です

「第一・第二列島線」は中国が引いたのが最初です

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第1列島線、第2列島線 中国への軍事戦略上の概念であり、主に米軍からの「防衛」ラインとされていますが、公海や他国の領海に線を引いたものであり、法的な根拠はありません。

中国が引いた「第一・第二列島線」

中国は開放経済政策によって経済力をつけると、積極的に海洋進出を試みるようになった。日本列島をはじめ、沖縄、台湾、フィリピン、ベトナムに至る諸島群が中国にとって地理的に実に邪魔な存在であり、これを何とか突破したいとの思いが具体化したのが1980年代からだ。

中国人民解放軍海軍(中国の軍は国家の軍ではなく、中国共産党の軍事部門となっており、正式にはこの名称が使われる)は、地図の上に日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海に至る線を引いて「第一列島線」としたのである。

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さらには日本から小笠原諸島、グアムを結んだ線を「第二列島線」とした。中国海軍はこの2つの線の内側を勢力圏内とし、海洋からの外国勢力を入れないようにする戦略を採ると決めたのだ。

1992年に中国が制定した国内法「領海法」では、一方的に尖閣諸島、南沙諸島、西沙諸島の領有権を主張するだけでなく、東シナ海において大陸棚の自然延長を理由に沖縄近海の海域までの管轄権を主張している。

日本人にとっては、尖閣諸島をめぐる問題は、2012年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化してからにわかに始まったように見えているかもしれない。しかし実は、中国の長い歴史の中で、地図を逆に見るようになってからのことなのだ。

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中国が、いかに日本を邪魔と思っても、国は互いに引っ越すことはできない。そこで中国は、発想を変えることでそれを解決しようと行動を起こした。

中国を中心に置いた「逆さ地図」を基礎として、あらためて海を見れば、中国は周囲を囲まれているとしても、それらは小さな島々の連なりでしかない。大陸内部で激しい領土争いを繰り返してきた、中国本来のDNAからすれば、島に上陸して自国領にしてしまえばすべて解決すると思ってもおかしくない。

米国と中国という二つの覇権主義大国による対立が激化する中、、「対中国」を念頭に日米軍事同盟の「一層の強化」が確認されました。米軍は既に、九州沖から琉球諸島、南シナ海にいたる「第1列島線」に、日米一体のミサイル攻撃網を想定していることが判明しました。

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このまま米中軍事対立に巻き込まれ、国土を戦場にするのか。日本の進路が問われます。

「太平洋抑止イニシアチブ」(PDI)と銘打った基金が、今年1月に米議会で成立した2021年度国防権限法に盛り込まれました。その狙いは、「対中国」を想定した米軍の能力向上と同盟網の強化にあります。米インド太平洋軍は22~27年度の6年間で約274億ドル(約3兆円)を要求しています。

同軍が昨年、公表したPDIの予算要求資料は、「有効な抑止がなければ、中国やロシアが地域における米国の権益を奪い取るだろう」と指摘。「優勢を取り戻す」と表明し、あからさまな覇権争いを宣言しています。

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具体策の第1に掲げているのが、「第1列島線」への「残存性の高い精密打撃網」の配備です。巡航ミサイル・トマホーク(海軍)やスタンドオフミサイル(射程延伸型、空軍)、高機動ロケット砲システム(HIMARS、海兵隊)などをあげ、全軍で長距離精密兵器やレーダー網の強化などを進めるとしています。

さらに、将来的にはグアムなど「第2列島線」にも、第1列島線内を攻撃する長距離ミサイルを配備するとしています。

重大なのは、第1列島線の「精密打撃網」は、「増強された同盟国の地上配備兵器の参加」が前提とされていることです。南西諸島への配備が進んでいる自衛隊のミサイル部隊の動員を想定していることは明らかです。

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防衛省は奄美、宮古、石垣に陸自ミサイル部隊配備を進め、沖縄本島への配備も検討。射程を大幅に延ばした12式地対艦誘導弾をはじめ、極超音速誘導弾や高速滑空弾など最新鋭の長距離ミサイル開発に乗り出し、沖縄などへの配備を狙っています。さらに、22年度から空自へのスタンドオフミサイル(JSM)の配備が始まります。

こうした憲法違反の敵基地攻撃能力が、米軍の対中軍事戦略に組み込まれようとしているのです。

台湾海峡問題への覚悟迫る米国安保法制廃止いよいよ重要

米インド太平洋軍「太平洋抑止イニシアチブ」の予算要求資料は、「第1列島線」にミサイル攻撃網を配備する目的について、「接近阻止・領域拒否(A2AD)能力を覆す」ためのものだと説明しています。

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ミサイル網の目的
A2ADとは、ミサイルや戦闘機、潜水艦、電子妨害網などを重点配備し、そこから先への敵の侵入を阻止する能力です。

米国防総省の「2020年版中国軍事力報告」は、「台湾有事」(中国による台湾の軍事侵攻)が発生した場合、中国は「いかなる第三者の侵攻も打ち破る能力を開発している」と指摘。「米国の防衛計画者は、こうした能力を“A2AD”と呼んでいる」と述べています。さらに、「中国のA2AD能力は、第1列島線において最も堅固である」としています。

つまり、A2ADとは第一列島線、とりわけ台湾への接近を阻止する能力であるというのが米側の見解です。

こうした能力を構築するきっかけになったのは、第3次台湾海峡危機(1995年7月~96年3月)です。中国は初の台湾総統選を妨害するため、連日、台湾近海にミサイルを発射。これに対して米軍は同年3月、2個空母戦闘群や爆撃機を台湾海峡に急派し、中国を威圧しました。

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米国は54年から台湾と軍事同盟を結び、中国と国交を正常化して同盟を破棄した後も、国内法である「台湾関係法」に基づき、関与を継続しています。

米軍の介入は中国に衝撃を与え、台湾海峡への接近を阻止するための戦力増強が図られました。90年代後半から「空母キラー」である潜水艦を大増強。98年には自前の空母保有に着手しています。

今日、米軍が空母を台湾海峡に接近させるのは容易ではありません。そのため、第1列島線の外から攻撃可能な長距離ミサイル網を整備しているのです。

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日本も参戦可能に
第3次台湾海峡危機は日本政府にも波紋を広げました。日米安保条約に基づく共同作戦の検討に入るべきだとの意見(96年3月15日、梶山静六官房長官)も出されましたが、海上自衛隊元幹部は、当時の自衛隊は法的にも能力面でも限界があり、「同僚はみんな黙っていた。話題にすることを避けていた」と証言します。

しかし、今は全く異なります。既に日本は地上・洋上・航空いずれからも攻撃可能な長距離巡航ミサイルやF35ステルス戦闘機など、中国のA2AD網に対抗しうる敵基地攻撃能力の導入に着手しています。

さらに、米軍の海外での戦争への自衛隊の参戦を目的とした安保法制=戦争法があります。

岸信夫防衛相は3月22日の記者会見で、台湾海峡問題について問われ、「防衛省・自衛隊としても、あらゆる事態に備えて、わが国の法令の範囲内で適切に対応できるように、不断に検討をしている」と述べました。

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日本共産党の穀田恵二議員は4月21日の衆院外務委員会で、「検討」している法令に、安保法制の一環である(1)重要影響事態法(米軍への後方支援)(2)集団的自衛権の発動要件である「存立危機事態」を定めた事態対処法―が含まれるか質問。中山泰秀防衛副大臣は「含まれている」と認めました。

共同声明の危険性
最終的に、日本が台湾海峡問題への覚悟を迫られたのが、4月16日の菅義偉首相とバイデン米大統領の日米首脳会談です。共同声明は「台湾海峡の平和と安定の重要性」に言及。1969年11月の佐藤・ニクソン共同声明以来、52年ぶりに日米首脳の共同文書に「台湾」を明記したのです。

69年の共同声明は、72年5月に予定されていた沖縄の施政権返還後も、在沖縄米軍基地から台湾に自由出撃できることを事実上、容認したものですが、今回の共同声明は、それにとどまりません。

声明は「日本は…自らの防衛力を強化することを決意した」と明記。「対中国」の文脈で大軍拡・能力強化を誓約したのです。安保法制に基づいて自衛隊が参戦する、過去最大規模の軍事費をさらに増やす―そうした可能性を含んだ今回の共同声明は、より危険な内容になっています。

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大軍拡ストップ、安保法制廃止がいよいよ重要になっています。

中国にすると、大陸から見える海は狭く、すぐ近くに日本列島がある。さらに南に下ると九州から奄美諸島、沖縄、八重山と南西諸島が連なっており、台湾につながっている。台湾からはバシー海峡を挟んでフィリピンへと続き、その端はベトナムに連結している。

こうして見ると、中国にとって自由に動ける海はごく限られており、広い海へ出て行こうとしても、先に挙げた島々の間を縫って行かざるをえない。しかも、中国の船の動向は、それらの島を領有している日本などから絶えず監視されざるをえない。場合によっては海上封鎖で封じ込められてしまう可能性もある。

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日本は経済的にも巨大で、最先端のハイテク兵器を大量に所有し、数は少ないながらも高度な訓練が行き届いた自衛隊が存在する。海洋に進出しようとする中国にとっては実にうっとうしく、邪魔な存在に見えるに違いない。

日本人からすれば自由で世界に連なる海だが、中国からすれば日本があるために周辺の海が自由に使えないのだ。このように地図の見方を逆にすると、まるで違った現実が映し出される。

「大陸国家」中国の変貌
実はこの「逆さ地図」から見えてくる現実に、中国が気づいたのは比較的最近のことである。

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中国の西の端はヒマラヤ山脈を挟んでインドと国境を接し、北に向かってアフガニスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタン、ここから東に向かってはロシア、モンゴル、北朝鮮との間に国境線が走っている。

中国では、秦の始皇帝が漢民族の国家を創設して以来、北方の騎馬民族の侵入をいかに防ぐかが民族存亡の要であった。中国の歴史は大陸内部の土地争奪戦が主要な要素であり、三国志をはじめ中国の歴史記述には、海のことがほとんど出てこない。

このように大陸内部でのせめぎ合いを繰り返している国を、地政学では「大陸国家=ランドパワー」と呼ぶ。中国は歴史的に北方との闘いに関心を集中させており、海への関心はほとんどなかったと言って過言でない。

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これが劇的に変化したのが、1840年から2年間続いた「アヘン戦争」だ。アジア各地のほとんどを植民地にしてしまったイギリスが、広大な中国大陸に目をつけ、支配しようとした。その手始めに植民地のインドで採れたアヘンを、当時の清国に売りつけようとして「アヘン戦争」になった。その結果、清国は香港島をイギリスに奪われ、次いでその対岸にある九龍半島もイギリスの植民地として割譲させられた。

このことが、中国人の心の中に屈辱の歴史として刻み込まれ、海洋から攻め込んで来る勢力に敵愾心を持つようになったのだ。その後、1894年から1895年にかけて起きた朝鮮半島の覇権をめぐる日本との「日清戦争」にも敗れ、台湾を日本に割譲した。

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中国側の主張に立てば、尖閣諸島も、このとき日本に奪われたもので、第2次世界大戦で敗戦国となった日本は、尖閣諸島が中国領であることを認め、中国に返還すべきだということになる。ともあれ、中国が海洋に目を向け始めたのは19世紀後半であり、本格的に進出を決めたのは1948年に中華人民共和国が成立してからのことだ。

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中国が引いた「第一・第二列島線」

中国は開放経済政策によって経済力をつけると、積極的に海洋進出を試みるようになった。日本列島をはじめ、沖縄、台湾、フィリピン、ベトナムに至る諸島群が中国にとって地理的に実に邪魔な存在であり、これを何とか突破したいとの思いが具体化したのが1980年代からだ。

中国人民解放軍海軍(中国の軍は国家の軍ではなく、中国共産党の軍事部門となっており、正式にはこの名称が使われる)は、地図の上に日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海に至る線を引いて「第一列島線」としたのである。

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さらには日本から小笠原諸島、グアムを結んだ線を「第二列島線」とした。中国海軍はこの2つの線の内側を勢力圏内とし、海洋からの外国勢力を入れないようにする戦略を採ると決めたのだ。

1992年に中国が制定した国内法「領海法」では、一方的に尖閣諸島、南沙諸島、西沙諸島の領有権を主張するだけでなく、東シナ海において大陸棚の自然延長を理由に沖縄近海の海域までの管轄権を主張している。

日本人にとっては、尖閣諸島をめぐる問題は、2012年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化してからにわかに始まったように見えているかもしれない。しかし実は、中国の長い歴史の中で、地図を逆に見るようになってからのことなのだ。

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中国が、いかに日本を邪魔と思っても、国は互いに引っ越すことはできない。そこで中国は、発想を変えることでそれを解決しようと行動を起こした。

中国を中心に置いた「逆さ地図」を基礎として、あらためて海を見れば、中国は周囲を囲まれているとしても、それらは小さな島々の連なりでしかない。大陸内部で激しい領土争いを繰り返してきた、中国本来のDNAからすれば、島に上陸して自国領にしてしまえばすべて解決すると思ってもおかしくない。

次々と島を占領して自国領とすれば、包囲されていた海も、自由な海となるのだ。中国が内陸でやってきた領土争いの論理を、そのまま海に持ち込んできたのが、東シナ海、南シナ海における中国の行動原理だ。だからこそ、中国は尖閣でも、スプラトリーでも「核心的利益」を声高に叫び、勝手に埋め立て、島を広げ、領土を広げようとするのである。

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波紋を呼ぶAIIB、本当の狙い
こうした側面から見ると、中国が主導することでも取りざたされているAIIB(アジアインフラ投資銀行)も極めて重要な意味を持ってくる。

シルクロード「一帯一路」構想の真意も、地図を逆さにすると浮かび上がってくる
習近平政権は、2013年秋に「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海洋シルクロード」からなる「一帯一路」構想を打ち出した。さらに2015年1月には「一帯一路建設耕作指導小組」という組織を組み上げ、その具体化に乗り出した。

AIIBもこの構想の枠組みで見ていくと、おのずとその性格が見て取れる。中国はAIIBに500億ドル、シルクロード基金に400億ドルの出資を表明している。AIIBはアジアのインフラ開発に投資することを目的としたものであるから、「一帯一路」構想とも合致する。

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シルクロード一帯に港湾、交通網、商業施設などを建設する構想は、中国の企業が恩恵を得るのみでなく、地域の諸国にとっても経済的なメリットがある。しかし、海洋シルクロードでは、その戦略的側面を人民解放軍がリーダーシップをとって推進していることが明らかとなっている。アメリカのアジア回帰の勢いを失わせ、中国が新しいイメージで影響力を勝ち取る助けにしようとしているのだ。

海洋シルクロードの実態は、見かけ上は平和な戦術を取っている。しかし、主たる目的は互恵的協力ではなく、戦略的優位の獲得であると見て間違いない。

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雲南省昆明を起点としたシルクロード経済ベルトも、AIIBなどの資金を利用しながら、高速鉄道、自動車道、パイプライン、光ファイバーケーブルを施設して、古(いにしえ)のシルクロードを再活性化する構想である。

その経路として現在3つのルートが想定されている。ひとつが中央アジアから中東を通るルート、もうひとつが中国沿岸から発する海上ルート、さらには雲南から東南アジアに延びるルートだ。

中央アジア、東南アジアともに、自国産業の発展をどう果たしていくかが重要な課題だが、圧倒的な力を持つ中国を前に、経済的イニシアチブを取ることは難しく、中国の勢力下に取り込まれてしまう可能性が極めて大きい。

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「逆さ地図」的発想のススメ
このように地図を逆に見ることをはじめ、自在に地図の見方を変えてみると、現在、目の前で起きていることの本質が見えてくる。

グローバリゼーションの時代に、地政学を持ち出して情勢を分析するのは古色蒼然とした考え方であるという見方もあるが、ランドパワー国家・中国の動きは、共産党一党独裁政権の政治体制とも相まって、地政学が生まれた時代である19世紀的国家のビヘイビアに近似している。

地政学的ファクターを用いてアプローチしていけば、一見、複雑そうに見える中国の動向が明確化してくる。中国に限らず、現在、世界で起きているさまざまな国際間の現象を、地政学の視点で見ると、思いがけない事実が見えることがある。

ぜひ、地図を逆さまに見ることで、発想の逆転をしてみてはいかがだろうか(詳しくは5月15日発売の『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』(SB新書)でふれているので、ご一読いただければ幸いである)。



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